仕事が終わってアパートに帰ると、日曜日に応募した企業から結果が来ていた。
一縷の望みをかけてメールを開いてみた…。
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やっぱり不採用のお祈りメールだったよ。
まぁ、面接に呼ばれればラッキーくらいの気持ちだったので、落胆はそれほどしていない。
これで手持ちの駒は無くなった。
明日は派遣先候補の業務説明に行くので、そこで雇ってもらえるなら、そこで働くしか選択肢が無くなったな。
チンギスハンの出現以前、モンゴルの大草原を支配していたのはオイ族であることは広く世に知られている。しかし、元々は群雄割拠のモンゴルでオイ族は弱小部族であった。
弱小部族のため軍隊は少数精鋭でなければならないと考えた部族長は、兵隊の待遇を大幅に改善し、多くの志願者を獲得した。そこで志願者にテストを受けさせ、基準に満たない志願者は不合格とし、少数ながら精鋭の軍隊を作り上げた。
不合格者に対しては、その者の家までノーリ(モンゴル語で「伝令」)を送り、残念ながら不合格であるが、今後の活躍を期待する旨を伝えるという礼を尽くした。
当時は大変高価であったノーリを使った気遣いに不合格者は感謝の涙を流したと言う。
これにより少数精鋭の軍隊を得て、さらに民衆の心を掴んだオイ族は破竹の勢いでモンゴルを制圧した。
現代でも、就職活動で不採用通知を「お祈りメール」と呼ぶが、これはオイ族のノーリに由来することは、賢明な読者諸氏の察するところである。
民明書房『底辺の元朝秘史 ~お祈りメールは歌う~』より
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