不思議な体験3 私に似た私

正月に帰省した時、甥っ子が兄の小さい頃に似ているという話題になった。
母上がアルバムを探してきて、兄上の小さい頃の写真を眺めては『そっくりだね』と何度も何度も言っていた。

しばらくして、俺の小さい頃の写真を見つけてこう言った。

母上が差し出した写真…小さい頃の俺と小学校低学年と思われるポニーテールの女の子が映っていた。
俺の母上と女の子の母上が同じ職場でパートとしていたらしい。
動物園、小学校の運動会(?)、近所の公園…ローラースケート、砂遊び、滑り台…俺と女の子が映っている写真は50枚を超える。

母上が言うには、女の子は俺を弟のように面倒を見てくれたらしい。
俺が女の子と遊んだ期間は約2年間らしい。
俺が小学校へ上がる時に、女の子は団地から引っ越して転校したらしい。

俺は一切記憶にない。
どんなに記憶をたどっても、幼稚園時代にこの女の子の記憶がない。



写真に写った俺を見た時、違和感を感じた。
この写真に映っている活動的で元気のある子どもは俺のようで俺でない。
恐竜や飛行機の図鑑をずっと眺めていた記憶しかない。
外で友だちと遊んだりすることを極端に嫌っていて、親が心配して病院の発育相談をした。
それくらい外で友達と遊ぶことはしなかった。

俺の表情も少し違う気がする。
目が違う…気がする。
作ったような目だ。
不自然なくらいの笑顔…どうもおかしい。
俺に似てるけど、俺じゃない気がする。

俺はこれ以上写真を見るのが怖くなった。
俺に似た俺を見たくなかった。
母上には適当に『懐かしいね』と相づちを打っておいた。

 ランキング参加中↓
にほんブログ村 その他日記ブログ フリーター日記へ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加