やらない夫はアンダルシアに夢を見ます 第七話

やる夫が俺の懐からコルトを取り上げる

「腕利きのお前が無様な姿だな」

と、厭味ったらしい声が聞こえる

トカゲの野郎…お前が、やる夫を唆したのか

ご丁寧にマシンガンを持ってきていやがる

ボスは後ろ手に縛られていた

そもそも、俺が最初にダディを始末していたら…

はみ出し者が女と逃避行なんて不相応な夢を見た結果が、このザマだ

ボスは歯を喰いしばり、トカゲを睨みつける

もし知っていても “ファーザー” の情報を漏らすわけがない

ボスはただ一言、ダディについて尋ねた

いつからトカゲとダディが内通していたかは定かじゃないが、

ダディの逃亡させて、やる夫を寝返らせたのは間違いない




トカゲは確信して勝ち誇り、マシンガンを構える

ボスがゆっくりと口の端を歪めて笑う

余裕の笑み…”ファーザー” が実在し、何も知らない有頂天のトカゲが間もなく生き地獄を味わうことを想像しているんだろう

マシンガンが火を噴いて、ボスは一瞬でハチの巣になった

地獄で会ったとき、全てを話して謝罪すると誓いながら最期を見届けた

やる夫が、蔑んだ目で俺を見ている

いつから、そんな目をするようになった

しっかりと教育できなかった俺の責任か…

“ファーザー” は実在するというボスの言葉を信じよう

それならば、やる夫とトカゲはすぐに地獄に来るはずだ

もう一度、今度はきっちり教育しなきゃ俺のメンツは潰れたままだ

目が霞み手足の感覚も無いが、兄貴分の意地で立ち上がる

すぐにテメェも地獄に落ちる

今度はキッチリと教育してやる

そのつもりで地獄に来い!

ファーザー!お願いだ!

コイツをキレイな体のまま地獄に落としてくれ!

うるせぇ!

俺が地獄に行くのは50年後だ!

そんときゃ、お前を鞄持ちにしてやる!!

やる夫がトカゲからマシンガンをひったくり、構える

銃口から火花が見えた

体がバラバラになったような衝撃を受けて仰向けに倒れる

もはや痛みは感じない

カルメン、必ず行くから少し待っていてくれ

カルメン、カルメン、カル…




ランキング参加中↓
にほんブログ村 その他日記ブログ フリーター日記へ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加