女性に3万円貸してバックレられた話し 第6話

ゴールデンウィークの最終日の夜に非通知で電話があった。
普段は出ないんだけど、この時は何となく出てみたんだよね。
そしたら、相手はギャル実さんだった。
ギャル実さんの声は涙声だった。




東京駅の新幹線の改札?何で涙声?3万円貸して?
厄介ごとに巻き込まれたくない気持ちはあったが、好奇心もあった。
この時点で貸した金は返ってこないと思ったが、3万円なら踏み倒されても大損害ってわけじゃないし…。

ちょっと悩んだけど貸すことにした。
余談だけど、この時に俺は断るのが下手だと思った。
なので今後は少しでもヤバいと思ったら、何か頼まれる前に逃げたほうが得策と気づいた。
例えば今回のような非通知の電話はでないようにするとか。

東京駅に着いた頃、またギャル実さんから非通知の電話があって詳細な場所を教えてもらい合流した。




ギャル実さんは化粧が落ちた顔でスーツケースを持っていた。
これから新幹線でどこかに行くのだろう。

「絶対返すから!落ち着いたら連絡するね!」と涙声で言うギャル実さん。
ギャル実さんは帰ってこないだろう。
そして、貸した金は絶対に返ってこない。

こういう時に気の利いたことを言えない。
ちょっとの沈黙の後、ギャル実さんは元気な声で「またフグ食べに行こう!」と言って笑顔で言い、俺も精一杯の作り笑顔で「また行きましょうね!」と返事をした。

俺は絶対に果たされない約束をして、ギャル実さんは改札口をくぐって行った。

数日後、やらない子さんからギャル実さんについて聞かれた。

やらない子さんの口ぶりからすると、金を貸していた感じだった。
ギャル実さんの所在を聞かれたけど、これは本当に知らないので嘘はついていない。
新幹線の改札をくぐったのは見たけど、どこに行くかは聞いていない。

その後、ギャル実さんのことは誰も話さなくなり「忘れ去られた人」扱いになった。

ただギャル実さんが音信不通になってから一か月後くらいに、何度か非通知で電話があった。

おそらくギャル実さんからの電話だと思う。
通話できるタイミングでの着信もあったけど、そのままにした。
追加で金を貸して欲しいというお願いだと思う。
もう電話に出ないほうがいいだろう。
そう思って非通知着信拒否の設定をした。

今から17年前のゴールデンウィークの出来事でした。




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