今日、仕事帰りにスーパー寄って買い物して駅前を歩いていた時のこと。
意外とハンサムな若い男がダンボールを積んだ台車を押しながら近づいてきた。
男は俺に大きな声で『すみませーん!お忙しいところすみません!ちょっといいですか?』と言ってきた。
俺には男が配送か何かの仕事をしているように見えた。
道を聞きたいのだろうか?
俺は親切心を出して、立ち止まった…。
これが失敗だった。
男は自分の会社を早口で誤魔化すように言った。
まるで会社の名前を知られたくないかのように。
次に、八百屋が何とか…野菜が何とか…。
そして『覧になりませんか?』と言い終わる前に台車に載せたダンボールのフタを開け始めた。
ここで俺は自分の失敗に気が付いた。
30代半ばで金の無い顔をしてスーパーの袋を右手に持ち、肩から古いショルダーバッグを下げて、トボトボ歩く中年男…ハンサムな男にはキャッチセールスのカモに見えたのだろう。
しかし、こういう時は一瞥して足早に去ることが得策であることを俺は知っている。
俺は消え去りそうな声で『急いでるので』と言って、ハンサムの横をすり抜けてようとした。
ところが、ハンサムは台車で道をふさごうとした。
カモと思った中年男に逃げられるのがよほど悔しかったのだろう。
ハンサムはさっきよりも早口で立ち去ろうとした中年男に言った。
話しの途中で帰るのはおかしい!失礼だ!
最後まで聞くのが礼儀だ!
常識がなってない!
アナタは最後まで聞かずに帰るのか!?
黙れ小童!
俺を引き留めようなど懲役10年早い!!
急に罵倒されて理不尽極まりないが、心の中で叫んでさっさと逃げた。
もうビール飲んで寝る。
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